よくあるご相談

- ●取引先が契約書に記載した納期を守ってくれません。
- ●リース契約を中途解約したいのですが、リース料全額を支払うよう言われました。
- ●売掛金が回収できません。どうしたらいいでしょうか。
- ●請負工事の代金を支払ってもらえません。
契約トラブル
企業活動は、契約に基づいて行われます。契約書がなくても、契約関係を意識しなくても、契約は企業活動の基礎となっています。そのため、企業間で発生する紛争の多くは、契約トラブルが原因となり、契約責任を問う、あるいは問われているということになります。トラブルの解消も契約内容の解釈を通じて行われます。
事業活動は契約の積み重ね
事業活動は、雇用契約、リース契約、売買契約、賃貸借契約等、さまざまな契約が積み重なって成り立っています。ひとたびトラブルが発生したら契約内容の解釈により解決されます。経営にはこの意識が大切です。「これまで問題なかったから」「業界の慣行があるから」は、経営者にとって禁物です。大丈夫だろうと思うケースでこそトラブルが発生するのです。初めから注意をしていればトラブルは基本的に発生しません。
契約書の意味
トラブル解決の武器
取引先とのトラブルを解決する際には、契約内容はどうなのかが客観的に確認され、当事者の権利義務関係が判断されます。
契約内容を証明する最も強力な証拠が契約書です。
契約書がなかったり、内容に不備があるケースでは、見積書、発注関係書類、メール、Line、FAX、事実関係などをもとに、主張する契約関係を立証しなければなりません。口約束は無視されると思ってください。
契約書類はトラブルが発生した際の解決の武器です。ぜひとも作成してください。
トラブル防止のマニュアル
契約書をきちんと作成していれば、基本的に契約トラブルは発生しません。契約書から外れた行動をとることは難しいからです。
しかし契約書があっても、あらゆる事態を想定した取り決めがなされていなかったり、不備があれば、やはりトラブルの発生を防ぐことはできません。契約書を見て、契約成立から契約履行・債権回収まで、またトラブルが生じた際の処理等、仕事の流れを具体的にたどれなければいけません。解釈のズレの余地のない契約書を作成し、トラブルを防止することが大事です。
契約トラブルの防止が肝要です
中小企業では、1つの契約トラブルが発生しただけで、その解決に多大なコストがかかり、入金が遅れることで資金繰りや事業の継続に支障をきたしかねません。契約トラブルの発生を防止するために、できるだけ明確な取り決め内容を書面化した契約書を作成します。
特に、仕様変更や数量変更等、変更や修正があるケースには、当事者の認識のズレを招きがちです。例えば建設関係なら追加工事や工期変更です。契約内容が変更になった場合は、変更後の取り決め内容を明確に書面化あるいは証拠化をしてください。
弁護士のサポート
トラブルが起こったとき、どのような証拠があるかによって、解決策も異なります。これから作成できる証拠もあるかもしれません。
契約トラブルが発生する、あるいは発生する兆候が見えたときには、なるべく早く訴訟経験を豊富に有する弁護士にご相談し、万全の対応をしてください。
債権回収
売掛金等の債権回収は、企業にとって非常に重要なことです。
債権回収の肝は、トラブル予防と初動対応で決まります。
信用リスク管理の体制づくりをしておくこととともに、法律の専門家である弁護士にできるだけ早くご相談ください。
中小企業の信用リスク管理
債権回収トラブルの原因としては、次の2つがあります。
①支払えるだけのお金がない。
②契約内容の認識にズレがある。
①は日頃の信用リスク管理が重要になります。
売掛金の上限を設定して、随時見直しをし、売掛金残高の推移をチェックします。
また、取引先の日頃の観察も必要です。危ない兆候があったら、取引を縮小するようにします。
②もよくある原因です。契約書が何よりも大事です。
何よりも契約が大事
契約内容に認識のズレがあると、トラブルが発生します。契約内容が一義的あればそれに反した行動を普通はとりません。特に、途中で契約内容が変更になった場合は、変更時の代金の増減等が明確に合意されていないことが多く、当事者の認識に齟齬が生じるおそれが高まります。
同じ文章でも人によって解釈が違うことがあります。約束事項はできるだけ明確に、かつ簡潔に契約書に記しておくことが重要です。弁護士に文書を作成してもらう、あるいはチェックしてもらった方が安心です。
たとえ契約書がなくても、合意事項をメールやFAXなど文書化できる媒体に残しておけば、トラブルを防止する可能性が高くなります。合意形成の過程と内容を客観的に説明できるようにしておくのです。
危ない兆しがあったら契約書をチェックして、補完が可能か検討する必要があります。
交渉による回収
交渉による債権回収は、何よりも初動対応が肝要です。債務者に支払い意欲あるいは支払い余力があるうちに動かなければなりません。債務者の心理として「うるさい債権者から弁済をしたい」ということもあるでしょう。対面による交渉や督促、残高確認書の徴求を行います。弁護士名による督促も有効です。内容証明郵便により、法的措置の予告と支払いを請求します。
一方、当事者に契約内容の認識にズレがある場合は、交渉による回収は難しいかもしれません。その場合には早期に訴訟提起をします。
法的手段による回収
交渉により回収ができない場合は、法的手段をとります。
裁判所に債権の存在を認めてもらい、それでも支払わない相手に対しては、強制執行をします。強制執行ができる文書等を「債務名義」といいます。
債務名義を取得する方法には、①訴訟と②支払督促の2つがあります。
①契約内容の認識にズレがある場合は、訴訟提起による方法で解決せざるを得ません。
勝訴しても、債務者が支払わないときは、確定判決を債務名義として強制執行をすることになります。
②支払督促は、訴訟よりも時間がかからず、請求権があるかどうかや額に争いの余地がないケースに利用する手続きです。相手方に異議があると通常訴訟に移行します。
督促異議の申立てがないときは、仮執行宣言の申立てをし、仮執行宣言付支払督促を取得することができます。それを債務名義として、強制執行をすることになります。
保全
法的手続による回収には時間がかかるので、その間に債務者の資力が悪化したり、財産が散逸する・財産を隠匿されるリスクがあります。そこで利用されるのが、民事保全法に基づく保全処分です。
保全処分により、勝訴判決による強制執行の実効性を確保した上で、訴訟提起をして、取得した債務名義により民事執行法に基づく強制執行を行います。本執行と言います。
売掛金支払請求権や貸金返還請求権など金銭請求権を保全するのが仮差押えで、それ以外の債権(登記手続請求権など)を保全するのが仮処分です。保全処分は緊急性があるので、申立て後、すぐにその可否が判断されます。
担保・保証・保証金・相殺
債権保全のための担保には、不動産担保、有価証券担保、譲渡担保、入居保証金質権設定などがあります。連帯保証人は、代表者、代表者の家族や親族か第三者なのか等により、その効果は異なります。
担保・保証があれば安心というわけではありません。回収にはコストがかかりますし、一部の担保を除いて、実際に回収できる金額もわかりません。
保証金の設定は、簡便、確実な債権保全方法といえます。取引のたびに、または取引額に応じて、順次積み立ててもらう方法もあります。
相殺も債権を実質的に回収する方法で有効な手段となります。
なかた法律事務所の特徴
当事務所は、請負や建設など複雑な企業間の契約トラブル事案にも豊富な経験を有しております。また、契約トラブルを防ぐための契約書の作成やリーガルチェックは勿論、契約過程に関するリスク管理まで対応できるのが特徴です。
債権回収に関しても、保全処分を含めて取り組んでおります。債権回収トラブルを防ぐための信用リスク管理についてもご相談ください。